新型コロナワクチンとアレルギー

日本でも新型コロナワクチンの接種が始まりました。私も先日1回目の接種を終えました。私見ですが、痛みに関しては私はほとんど感じませんでした。ただ、2,3日は軽く腫れているように思います。

沢山の患者様から「アレルギー体質だけど私は打てるの?」「卵アレルギーだと打てないの?」「喘息持ちは?」「糖尿病あるけど大丈夫?」と質問をいただきます。

 

医学誌《The New England Journal of Medicine》では、モデルナ社やファイザー社製のmRNAワクチンは初めて実用化されたため、アレルギーの可能性については不明としています。しかし、最近ではワクチンに含まれるポリエチレングリコール(以後PEGと表記します)がアレルギーを引き起こすのではないかと言われております。また、アストラゼネカ製のワクチンはmRNAワクチンではありませんが、PEGと交差反応(類似の構造をもつ抗原に対してのアレルギー反応)すると言われているポリソルベートが含まれており、これらにアレルギーがある方は注意すべきかもしれません。

では、PEGは日常生活のどのようなものにふくまれているのでしょうか。PEGは様々な食品に乳化剤として添加されていたり、化粧品や軟膏基剤としても広く用いられているだけでなく、医薬品の添加剤、歯磨き粉等の医薬部外品、慢性便秘の治療薬や大腸内視鏡検査前処置用の腸管洗浄剤の主成分にもなっております。ポリエチレングリコールの「ポリ」とは多数を意味し、エチレングリコール(分子量62.07)が鎖状にいくつもつながっているのです。そもそもPEGがこれだけ広範囲に使用されるのは安全性が高い故であり、尚且つ分子量が高く(約2000g/mol)、簡単に言えば、薬物動態を安定させるために使用します。例えばPEGインターフェロンという抗がん剤もその一つです。どのアレルギーがある方がこのワクチンに対するアレルギーを起こしやすいのかはわかってはいないのですが、推察するに、今までワクチンに対してアレルギーを起こしたことがある方(これは他のワクチンにもポリソルベートが入っているものがあるため)、また、腎機能の良くない方(分子が大きいため排出に時間がかかることが予想され、感作の時間が長くなるため)は注意が必要と思われます。厚生省から配布される問診票では既往歴の項目があるので、腎機能に問題のある方は特に注意が必要です。

 

mRNAワクチンについても少しふれておこうと思います。

私が医学部生のころ試験にでていたのはほとんどが不活化ワクチン、もしくは弱毒化ワクチンだったと思います。昔から研究はされていたようですが、これだけ有名になってきたのはここ最近ではないでしょうか。遺伝子工学の発達によりこのmRNAワクチンの研究が急速にすすみ、これだけ早く新型コロナワクチンの開発が可能になったと思われます。ウイルスの設計図が早くわかるようになり、それに対する抗体を強引に作り出すイメージです。

mRNAを色々調べていたのですが、位髙 啓史先生の論文がわかりやすいため、リンクを貼っておきます。

「mRNA 医薬開発の世界的動向」

まだまだ発展途上の段階かもしれませんが、上手くいけば、抗がん剤または酵素などを産生できない疾患などに有効な治療を行える時代が来るかもしれませんね。

2021/4/29

 

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