ストレスと皮膚疾患
今回は「ストレスと皮膚疾患」について書いていこうと思います。科学的な根拠はないので、暇つぶし程度に読んでみてもらえれば、と思います。
様々な皮膚疾患の原因について、「それは老化が原因です・・・」とか「ストレスが原因ですね・・・」という言葉は医者にとっての逃げ場のような気がして
できるだけ使いたくないな、と医師になりたての時は考えてはいたのですが、経験を通して少なからずストレスが原因の疾患も皮膚科領域に多数あることがわかりました。
ストレスがない人はいないのですが、感じ方は人それぞれです。例えば「テストで合格点をとれなかった」という事に対してもすごく気にしてしまう人もいれば、あまり感じない人もいます。
逆に、自分ではこんなこと大したことないと思っているストレスでも体には予想以上に負担がかかっていたり・・・。
では、皮膚科領域でよくみるストレスによる皮膚疾患は何かというと〈円形脱毛症〉、〈じんましん〉、〈アトピー性皮膚炎の増悪〉などです。
じんましんの原因を食べ物や花粉、動物の毛が原因と訴えられる方がかなり多いのですが、採血をしてもほとんどわかることはなく、むしろストレスだったということが非常に多いと感じます。
例えば「職場の上司が変わった」とか、「子供が受験だから」とか、「転職を考えている」などで悪化することが多いのです。
皮膚とストレスを考える際に〈発生学〉から考えてみます。
私の高校生の時の生物学で印象的だった授業に、「細胞凝集実験」の話があります。
そもそも生物の細胞は外肺葉、内胚葉、中胚葉という起源から神経や胃、筋肉や骨などに分化していきます。
まだ分化していない初期杯の時点で細胞をバラバラにし、また一緒にすると似た組織はまたくっつくという性質があります(細胞凝集といい細胞親和性があると説明されます)
外肺葉は脳を含む神経細胞、皮膚に後に分化し、内胚葉は消化器、呼吸器、中胚葉は筋・骨格系へと分化します。
つまり同じ外肺葉である皮膚と神経は細胞親和性があり、分化後も密接な関係があるのではと考えられるのです。
神経伝達物質を人の角層欠損部に投与すると修復に差がでたとの話もあり、今後研究が進めばあらゆる皮膚疾患に対して人工的な神経伝達物質が有効という時代が来るかもしれませんね。
また、余談ですが心理学の側面からストレスをみると、ストレスを体に悪いものと思うことと、体にいいこともあると「とらえ方」を変えるだけで健康に差がでるという論文もあるようです。
ただ、それに関しては専門のカウンセラーや心療内科医にゆだねたいと思います。
2022/1/30