掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)という病気

今回は、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)という病気についてです。

明らかな原因は不明と言われる、手足に膿疱(白いぷつぷつ)や皮剝けが起こる疾患です。

欧米では、この掌蹠膿疱症という疾患は一般的ではなく、膿疱性乾癬の一型と考えられています。日本でも、掌蹠膿疱性骨関節炎(PAO)、SAPHO症候群との異同が問題となる、ややこしい疾患です。

ある年齢からでき始め、ひどくなると関節痛や爪の変形なども引き起こします。平均して、治癒に3年から7年かかるとも言われる経過の長い疾患です。喫煙者に多く、40~50歳代から始まることが多いです。

原因ははっきりとしませんが、いくつかの説があります。

●慢性の炎症(例えば虫歯、扁桃炎、副鼻腔炎、胆嚢炎)など患っている場合

●喫煙

●金属アレルギー

など

治療は、喫煙している場合はまず禁煙。そのほか、ステロイドの外用や抗ヒスタミン薬、抗生剤の内服で、ひどい場合はステロイド内服、免疫抑制剤の内服、エトレチナートの内服、紫外線治療を行います。

扁桃腺試験などで、陽性の場合は扁桃腺摘出などの手術をすることで改善することがあります。

また、ビタミンH(ビオチン)と、整腸剤の内服で改善が得られることもあります。ビオチンは保険診療で処方できる範囲は1日2gなのですが、もっと内服したほうがいいという専門家もいます。

そして最近グセルクマブ(トレムフィア®)という生物学製剤が、厚生省により認可されました。有効率も高く、今後有望なお薬です。

高額医療になるため大学などの大病院での治療が主体になるのですが、難治で悩んでいる方は是非ご相談ください。      2019/10/12

 

←前へ    次へ→