皮膚科領域の新薬

当クリニックで処方する皮膚科の新薬について、ご説明いたします

薬を処方する際に、すべて新薬で処方するわけではなく、従来品、後発品、また、症状や使用している内服薬、妊娠・授乳の有無、患者様の希望なども

考え決めていきます。                                               2024/8

 

〇アトピー性皮膚炎治療薬 内服

・オルミエント®

JAK(ヤヌスキナーゼ)という酵素を阻害し免疫反応に関わるサイトカインの働きを抑えることで症状を改善する薬です。アトピー性皮膚炎治療として複数のサイトカインの働きを抑制することで、かゆみや皮膚の炎症を抑えます。投与前に結核、B型肝炎ウイルス、その他処方にあたり合併症などの有無につき精査する必要があり、初回は近隣の基幹病院への紹介となります。認定施設、かつ皮膚科専門医が処方可能な内服薬となります。円形脱毛症(重症例)での適応が追加となりました。

・リンヴォック®

JAK(ヤヌスキナーゼ)という酵素を阻害し免疫反応に関わるサイトカインの働きを抑えることで症状を改善する薬です。従来関節症性乾癬、関節リウマチでの使用適応がありましたが、アトピー性皮膚炎に対し使用が可能となりました。投与前に結核、B型肝炎ウイルス、その他処方にあたり合併症などの有無につき精査する必要があり、初回は近隣の基幹病院への紹介となります。認定施設、かつ皮膚科専門医が処方可能な内服薬となります。

 

〇アトピー性皮膚炎治療薬 皮下注射

・イブグリース®(レブリキズマブ 皮下注ペン型・シリンジ)

アトピー性皮膚炎の病態に関与するIL-13を選択的に阻害することで効果を発揮するお薬です。サイトカインの働きを抑制することで、かゆみや皮膚の炎症を抑えます。他の生物学的製剤との違いは、本来2週に1回の治療薬ですが、経過により4週に1回の注射と減量が可能なところです。

・アドトラーザ®

アトピー性皮膚炎の病態に関与するIL-13を選択的に阻害することで効果を発揮するお薬です。サイトカインの働きを抑制することで、かゆみや皮膚の炎症を抑えます。

・デュピクセント®(皮下注ペン型)

既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎を効能、効果として製造販売承認を取得しております。在宅自己注射の利便性向上が期待できる製剤です。

・ミチーガ®(皮下注60㎎シリンジ)

既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎において主にかゆみを軽減させる注射薬です。製造販売承認を取得して2022年8月より投与可能となりました。

〇外用薬

・ブイタマー®クリーム1.0%

芳香族炭化水素受容体(AhR)活性化を介するAhR調節薬です。アトピー性皮膚炎でもあり尋常性乾癬治療薬でもあります。安全性が高く、1日1回でも良いくすりと期待されております。2024年10月29日から処方が可能となります。

・アレジオン®眼瞼クリーム0.5%

1日1回目周囲へ塗布するクリームタイプのアレルギー性結膜炎治療剤です。

・アポハイド®ローション20%

原発性手掌多汗症治療剤です。2023年春(未定)から処方可能となります。

・ベピオ®ローション2.5%

2023年春から従来のベピオゲルのローションタイプも処方可能となりました。ローション基剤は初めてとなります。

・ロゼックス®ゲル0.75%/15g

酒さ(ニキビのような赤いポツポツ)治療薬となります。数年前から当クリニックでも扱っていたのですが、自費でしかお渡しできない製剤でしたが、この度適応追加承認が下り、保険処方可能となりました。メトロニダゾールゲルとなります。

・モイゼルド®軟膏0.3%/1%

アトピー性皮膚炎治療薬になります。PDE4(ホスホジエステラーゼ4)阻害薬になります。かゆみを引き起こす炎症性サイトカインを減らします。2022年6月処方可能になりました。

・ラピフォート®ワイプ2.5%

原発性腋窩多汗症治療剤です。グリコピロニシウムトシル酸塩水和物を有効成分とするものです。2022年5月23日から処方可能となりました。

・ゼビアックス®油性クリーム

2021年6月から処方可能予定のにきび治療薬です。今までローションはあったのですが油性クリーム基剤は初めてとなります。

・エクロック®ゲル

2020年11月発売の原発性多汗症治療剤です。抗コリン作用を有する新規の化合物、ソフピロニウム臭化物を有効成分とする、日本初の原発性腋窩多汗症用外用剤です。

・コレクチム®軟膏

2020年5月発売のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤と呼ばれるアトピー性皮膚炎の治療薬です。ステロイドほどの副作用がなく、全身塗布、長期使用も可能と考えられているお薬です。

従来の0.5%の他0.25%が処方可能となりました。(2021/5)

 

〇抗アレルギー薬

・ビラノア®(ビラスチン)/ビラノア®OD錠 

1日1回空腹時に内服する薬です。眠気が少なく、即効性があるというのも特徴です。

OD錠が新しく製造販売承認を取得しました。(2021/9)

・デザレックス®(デスロラタジン) 

ロラタジン(クラリチン®)の活性代謝物です。1日1回の内服で眠気も少なく、食事の影響がなく、いつでも内服できるのが特徴です。

・ルパフィン®(ルパタジン)

抗ヒスタミン作用のほか、抗PAF(血小板活性化因子)作用を有した初の抗アレルギー薬です。症状によっては倍量での内服も可能なお薬です。

 

〇保湿外用剤

・ヒルドイドフォーム® (ヘパリン類似物質外用泡状スプレー)

ベタツキの少ない新しい保湿剤です。泡状で伸ばして使用します。泡にしてはキメが細かく落ちにくい印象です。1本92gで約2,000円(3割負担で約600円,g単位で換算すると従来のヒルドイドソフト®と同じ金額)です。

 

〇乾癬治療薬

・スキリージ®

ヒト化抗ヒトIL-23p19もpのクローナる抗体製剤。皮下注による治療を行います。生物学的製剤の中では投与間隔が比較的長い製剤です。

初回投与後1回目は4週間後、その後は12週おきになります。初回は検査もあるため、近隣の大病院へ紹介させていただき、その後は当クリニックでの治療も可能な注射剤です。

・オテズラ®

この薬は、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤と呼ばれる薬です。 細胞内で炎症性および抗炎症に関与する物質の発現を調節することにより、乾癬の症状を改善します。

・ドボベットゲル®

以前よりあった活性型ビタミンD3と合成副腎皮質ホルモンの合剤であるドボベット軟膏がゲルタイプになったものです。(軟膏よりさらっとした使用感です)頭皮にも使いやすいようになっています。

・ドボベットフォーム®

活性型ビタミンD3と合成副腎皮質ホルモンの合剤でフォームタイプ(泡スプレー)になったものです。2021年6月中旬から処方可能となります。

・マーデュオックス®

活性型ビタミンD3と合成副腎皮質ホルモン(ステロイド外用剤であるアンテベート®)の合剤です。1日1回の外用でよく、従来のようにD3軟膏とステロイドの重ね塗り(あるいは間隔をあけての塗布)のわずらしさは軽減します。

・コムクロ®シャンプー (クロベタゾールプロピオン酸エステルシャンプー)

外用副腎皮質ホルモン含有のシャンプーで1日1回の使用となっております。尋常性乾癬のみでの適応でありましたが、湿疹・皮膚炎についても適応拡大となりました。

 

〇爪白癬治療薬

・ネイリン®(内服薬) 

適用は足爪白癬となっております。基本は約3か月(12週)内服いたします。イトラコナゾールと同じくトリアゾール系です。

・クレナフィン®(外用剤)

内服薬は難しく、外用での治療を希望される場合に処方することがあります。爪にも浸透していく薬で、ハケがついており外用しやすくなっております。

・ルコナック®(外用剤)

クレナフィン同様、爪に浸透していく薬でハケはついていないのですが、価格はクレナフィンより安くなっております。