2026年8月04日
当クリニックで処方する皮膚科領域の新しい治療薬について
皮膚科領域では、近年、アトピー性皮膚炎、乾癬、慢性蕁麻疹、多汗症、にきびなどに対して、新しい作用機序をもつ治療薬が次々と登場しています。
当クリニックでも、患者さんの症状やこれまでの治療経過、年齢、合併症、現在使用している薬、妊娠・授乳の有無、ご希望などを考慮しながら、必要に応じて新しい治療薬をご提案しています。
ただし、新しい薬が必ずしもすべての患者さんに適しているわけではありません。従来から使用されている治療薬や後発医薬品を含め、それぞれの特徴を考慮しながら、患者さんに合った治療を一緒に選択していきます。
※薬剤の適応や使用条件は変更されることがあります。実際の処方については診察時にご相談ください。
最終更新:2026年8月
慢性蕁麻疹治療薬
ラプシド®錠25mg(レミブルチニブ)
既存の治療で十分な効果が得られない特発性の慢性蕁麻疹に使用する内服薬です。ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)を阻害することで、蕁麻疹の症状に関わる細胞の活性化を抑えます。
アナフィラキシー治療薬
ネフィー®点鼻液1mg・2mg(アドレナリン)
アナフィラキシーが起きたときに使用するアドレナリンの点鼻薬です。従来のエピペン®による筋肉注射に加えて、鼻から投与できる新たな選択肢が加わりました。
水いぼ(伝染性軟属腫)治療薬
ワイキャンス®外用液0.71%(カンタリジン)
水いぼ(伝染性軟属腫)に使用する外用薬です。従来のピンセットによる摘除などとは異なり、医療機関で病変部に薬剤を塗布して治療します。
アトピー性皮膚炎治療薬〈内服薬〉
オルミエント®(バリシチニブ)
JAK(ヤヌスキナーゼ)を阻害し、皮膚の炎症やかゆみに関係するサイトカインの働きを抑える内服薬です。アトピー性皮膚炎のほか、重症の円形脱毛症などにも使用されています。 使用前には結核やB型肝炎などの感染症、合併症について確認が必要です。当クリニックでは必要に応じて基幹病院と連携して治療を行います。
リンヴォック®(ウパダシチニブ)
JAKを阻害することで、アトピー性皮膚炎の炎症やかゆみに関係する複数のサイトカインの働きを抑える内服薬です。 使用前には結核やB型肝炎などの感染症や合併症について確認が必要なため、必要に応じて基幹病院と連携して治療を行います。
アトピー性皮膚炎治療薬〈注射薬〉
イブグリース®(レブリキズマブ)
アトピー性皮膚炎の病態に深く関わるIL-13の働きを選択的に抑える生物学的製剤です。症状が安定した患者さんでは、状態に応じて投与間隔を延長できる場合があります。
アドトラーザ®(トラロキヌマブ)
アトピー性皮膚炎の炎症に関わるIL-13の働きを選択的に抑える生物学的製剤です。既存治療で十分な効果が得られないアトピー性皮膚炎に使用します。
デュピクセント®(デュピルマブ)
IL-4とIL-13の働きを抑える生物学的製剤です。アトピー性皮膚炎のほか、結節性痒疹、特発性の慢性蕁麻疹、水疱性類天疱瘡などにも適応が広がっています。 疾患や製剤によっては、指導を受けたうえでご自宅で自己注射することも可能です。
ミチーガ®(ネモリズマブ)
かゆみに深く関わるIL-31の働きを抑える生物学的製剤です。既存治療で十分な効果が得られないアトピー性皮膚炎などに使用され、特にかゆみの改善が期待されます。
にきび治療薬〈外用薬〉
ベピオ®ウォッシュゲル5%
過酸化ベンゾイルを有効成分とする、尋常性ざ瘡(にきび)の洗い流すタイプの外用薬です。1日1回、洗顔後に患部へ塗布し、5~10分後に洗い流します。
ベピオ®ローション2.5%
過酸化ベンゾイルを有効成分とするにきび治療薬です。従来のゲル剤に加えてローション剤が使用できるようになり、肌の状態や使用感に応じて選択できます。
ゼビアックス®油性クリーム2%
オゼノキサシンを有効成分とする外用抗菌薬で、にきびなどに使用します。従来のローション剤に加え、油性クリーム剤も選択できます。
アトピー性皮膚炎・乾癬治療薬〈外用薬〉
ブイタマー®クリーム1%(タピナロフ)
芳香族炭化水素受容体(AhR)に作用する新しいタイプの外用薬です。アトピー性皮膚炎と尋常性乾癬に適応があり、通常1日1回患部に塗布します。
モイゼルト®軟膏0.3%・1%
PDE4(ホスホジエステラーゼ4)を阻害し、皮膚の炎症に関わる物質の産生を抑えるアトピー性皮膚炎治療薬です。ステロイドとは異なる作用機序をもつ外用薬です。
コレクチム®軟膏0.25%・0.5%
JAKを阻害することで皮膚の炎症を抑える、アトピー性皮膚炎の外用薬です。ステロイド外用薬とは異なる作用機序をもち、年齢や症状に応じて濃度を使い分けます。
アレルギー性結膜炎治療薬
アレジオン®眼瞼クリーム0.5%
アレルギー性結膜炎に使用する、まぶたに塗るタイプの治療薬です。通常1日1回、上下の眼瞼に塗布します。
多汗症治療薬
アポハイド®ローション20%
原発性手掌多汗症、いわゆる「手汗」に対する保険適用の外用薬です。抗コリン作用によって発汗を抑えます。
ラピフォート®ワイプ2.5%
原発性腋窩多汗症に使用する、シートタイプの外用薬です。抗コリン作用によって脇の発汗を抑えます。
エクロック®ゲル5%
原発性腋窩多汗症に使用する保険適用の外用薬です。抗コリン作用をもつソフピロニウム臭化物を有効成分とし、脇の過剰な発汗を抑えます。
酒さ治療薬
ロゼックス®ゲル0.75%(メトロニダゾール)
顔の赤みや赤いぶつぶつなどを生じる酒さに使用する外用薬です。以前は自費で使用していましたが、現在は酒さに対して健康保険で処方できます。
抗アレルギー薬
ビラノア®錠・OD錠(ビラスチン)
蕁麻疹やアレルギー性鼻炎などに使用する抗ヒスタミン薬です。通常1日1回空腹時に内服し、眠気が比較的起こりにくいことが特徴です。
デザレックス®錠(デスロラタジン)
蕁麻疹やアレルギー性鼻炎などに使用する抗ヒスタミン薬です。通常1日1回の内服で、食事の影響を受けにくいことが特徴です。
ルパフィン®錠(ルパタジン)
抗ヒスタミン作用に加え、PAF(血小板活性化因子)の働きも抑える抗アレルギー薬です。蕁麻疹やアレルギー性鼻炎などに使用します。
保湿外用剤
ヒルドイドフォーム®(ヘパリン類似物質外用泡状スプレー)
ヘパリン類似物質を有効成分とする泡状の保湿剤です。泡を皮膚に広げて使用するため、広い範囲にも塗りやすく、使用感の好みに応じて他の剤形と使い分けることができます。
乾癬治療薬〈内服薬〉
ソーティクツ®錠(デュークラバシチニブ)
乾癬の炎症に関わるTYK2(チロシンキナーゼ2)を選択的に阻害する内服薬です。既存治療で十分な効果が得られない尋常性乾癬などに使用します。 治療開始前には感染症や合併症などについて確認が必要です。当クリニックでは必要に応じて基幹病院と連携して治療を行います。
オテズラ®錠(アプレミラスト)
PDE4(ホスホジエステラーゼ4)を阻害し、炎症に関わる物質のバランスを調整する内服薬です。尋常性乾癬などの治療に使用します。
乾癬治療薬〈注射薬〉
スキリージ®(リサンキズマブ)
乾癬の炎症に関わるIL-23を選択的に抑える生物学的製剤です。皮下注射で治療し、導入期を過ぎると通常12週間ごとの投与となります。 当クリニックでは、初回導入時には連携する基幹病院へご紹介し、状態が安定した後の継続治療に対応しています。
乾癬治療薬〈外用薬〉
ドボベット®ゲル
活性型ビタミンD3とステロイドを配合した乾癬治療薬です。ゲル剤のため伸ばしやすく、頭皮など毛のある部位にも使用しやすい剤形です。
ドボベット®フォーム
活性型ビタミンD3とステロイドを配合した泡状の乾癬治療薬です。フォーム剤のため広げやすく、通常1日1回使用します。
マーデュオックス®軟膏
活性型ビタミンD3とステロイドを配合した乾癬治療薬です。2種類の薬剤を1剤にまとめることで、外用治療を行いやすくしています。
コムクロ®シャンプー
ステロイドを含有したシャンプータイプの外用薬です。頭部の尋常性乾癬や湿疹・皮膚炎などに使用します。
爪白癬治療薬
ネイリン®カプセル100mg(ホスラブコナゾール)
爪白癬に使用する内服の抗真菌薬です。通常、成人では1日1回1カプセルを12週間内服し、治療終了後も爪が生え替わるまで経過をみていきます。
クレナフィン®爪外用液10%(エフィナコナゾール)
爪白癬に使用する外用の抗真菌薬です。爪の中へ薬剤が浸透しやすいように作られており、内服治療が難しい方などにも選択肢となります。
ルコナック®爪外用液5%(ルリコナゾール)
爪白癬に使用する外用の抗真菌薬です。爪に薬剤を塗布して治療を続け、感染した爪が新しい爪に生え替わっていくのを待ちます。
治療薬の選択について
ここでご紹介した薬剤は、当クリニックで扱う治療薬の一部です。
新しい薬だから従来の薬より優れているとは限らず、患者さんによって適した治療は異なります。症状の程度、これまでの治療効果、副作用、合併症、通院方法、費用、ご希望などを考慮したうえで治療をご提案します。
また、一部の薬剤では治療開始前に血液検査や感染症の検査が必要となり、連携する基幹病院で検査や治療導入をお願いする場合があります。
気になる治療薬がございましたら、診察時にお気軽にご相談ください。
